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夏の幻

夏の幻 浮かぶ君の横顔が

消せなくて

「今年も夏が終わるね」

君と話した二人きりの放課後

並んだ二つの影は平行線のまま

ぼんやりにじんでく

ゆるり髪なびかせた

オレンジ色の校庭

ずっと続く気がしてた

ふとしたしぐさも

イタズラなそのえくぼも

ぼくだけのものに

なんて願ってしまうんだ

夏の幻 ぼくらはオレンジ色の中

揺らめいて

急かすように辺りは暗くなって

二つの影は一つに飲まれてく

ゆらり顔照らし出した

最後の線香花火

すぅっと儚く咲いた

長いまつげも

流れるその涙さえも

ぼくだけのものに

なんて願ってしまうんだ

夏の幻 何度もよぎった言葉が

言えなくて

指先の煌きは風に吹かれて

あっという間に消えてく

それはまるでぼくらのようだ

なんて君は

哀しく笑った

夏の幻 きらめいた君の花は

ぼくだけをひとり残して儚く散った

ふとしたしぐさも

いたずらなあのえくぼも

消えなくて

消せなくて


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